こんにちはシークラです。
LINEに地元の友人から連絡が来ました。
「オフショアジギング用のスピニングリールはHG、PGどちらが良い?」
「そんなの使う海域によるよ!」というのは簡単だけれども。。。
真面目に考えてやることにしたPAYPAY祭り前日の金曜日(*´-`)
地元の海域も日本海で、水深60〜100mの近海ジギング。丹後半島の釣りとよく似ています。
現在、ダイワヴァデル4000hを使用でパワーのあるリールを希望とのこと。
パワーのあるリールとはなんなのか?
剛性なのか、ギア比なのか?巻取りの力なのか?
先週の話ですが、少し真面目に考えてみたのです。
長い文章になりますがお付き合い下さい。
- 【なんとなく持っているリールのイメージ】
- 【ボディ剛性や抵抗は無視】
- 【①巻き上げのエネルギー量はどのリールを使っても同じ】
- 【②浮力による水中での重さ】
- 【③どれだけ手元の力が必要か】
- 【④結果一覧を作成してみました】
- 【⑤実際に実験してみた】
- 【まとめ】
【なんとなく持っているリールのイメージ】
リールパワー関係についてなんとなく思っている事をピックアップしてみました。
・ボディ剛性が高いからパワーがある
・高いリールはパワーが強い
・パワーギアだから巻き上げが軽い
・ハイギアは巻きが重い
・リール番手が大きいとパワーが強い
・大径ドライブギアでパワーアップ?
どれも正しそうです。
リールが大きければ強いのか?パワーギアだから強いのか?高いリールだから強いのか?
一度冷静に考えてみることにしました。
さて、滑車やギアの物理学をカンペキにぶっ飛ばして考えていきましょう〜。
【ボディ剛性や抵抗は無視】
リールの巻き上げパワーに関して、ボディ剛性が関与してくるのは間違いないと思います。しかし、ジギングリールはどれもメイン部がアルミボディで、剛性が高いことが前提なので、いわゆる機械的損失、或いはインフィニットドライブ等の機構はとりあえず考慮せず考えてみることにしました。また、ラインやガイド、魚の抵抗も特に考慮せずに進みます。
【①巻き上げのエネルギー量はどのリールを使っても同じ】
大物青物である10kgの魚を100M巻き上げようとする時の事を基準に考えてみます。
10kgを100M巻き上げるというエネルギー量については、機械的損失を除けばどのリールを使おうが同じだけの力が必要となります。どんなギア比であろうがリールであろうが巻き上げてくるまでに必要な総力は変わらないということです。当たり前っちゃ当たり前ですね。
【②浮力による水中での重さ】
水中では浮力が発生し10kgの魚の重さでもそれ以下の重力となります。
アルキメデスの原理により
水中での重さ(g)=10,000g-魚の体積(㎤)
となります。
魚の体積なんてこれまで考えた事がないですが、仮に8,377㎤(全長80cm・体高20cm・体厚10cmの楕円型)と仮定すると、
魚の水中での重さは約1.62kgとなります。
(まったく引かない状態の話ですが・・・)
【③どれだけ手元の力が必要か】
さて、問題になってくるのはどれだけハンドルを回す手元に力が必要かと言うことです。
10kgの魚を水中から100M巻き上げる際に手元にかけるエネルギーを、巻き上げ量とハンドルにかける動作量で求めてみようと思います。
(最大巻き上げ量で比較する)
最大巻き上げ量はハンドルを1回転させた時に最大で巻上げれる長さです。リールのスプールの大きさとギア比によって算出された考えやすい数字となります。
ヴァデル 4000Hは101cmでしたので、100M =10,000cmを仮に最大巻き上げ量で巻き上げるとすると99回ハンドルを回すことになります。
(ハンドルの動作量でかかる力を考える)
最大巻き上げ量はハンドルを1回転させれば巻き上げられます。
ヴァデルのハンドル長は6.5cmなので、ハンドル1回転の動作量は円周の長さで
2×6.5cm×3.14=40.82cm となります。
ヴァデル 4000H(巻き上げ101cm)で101cm巻き上げるには、ハンドルを1回転40.82cm回す必要があることがわかります。
水中で1.6kgの魚をハンドル1回転巻き上げるのに必要な力は、1.6kgを101cm巻き上げる力に等しいので、下記の計算で求められます。
1.6kg×101cm÷40.82cm=3.96kg
(*簡易的に重さで力を表しています。)
当然ですが、魚の重さよりも力を使いますね。
ハンドル1回転の少ない動作量で大きな巻き上げ量を得る事ができるリールは、自転車で言えば重たいギアでたくさん進む状態なので坂道(魚の重さ)を登るのにはパワーが必要なのも納得です。
【④結果一覧を作成してみました】
水中での魚の重さを1.6kgと仮定して、6000番から8000番サイズのスピニングリールで計算をしてみました。
ハンドル1回転に必要な力、それを水深分巻き上げるのに必要な総力を中心に比較します。
ハンドル1回転に必要な力はPGの方が有利で、リールの番手が大きくなるとハンドル長も長くなる傾向にあるため有利になることがわかります。
水深分巻き上げるのに必要な総力は、巻き取り量とハンドル1回転に必要な力のバランスによって決まります。ここではセルテートSW8000Hが最も少ない総力で巻き上げられることがわかります。これはハイギア+ロングハンドルの恩恵と思われます。
【⑤実際に実験してみた】
ハンドル1回転に必要な力を算出してみましたが、実際にどれほどの負荷感覚になるのか実験してみました。
1.5Lのペットボトルにラインをくくりつけてリフトアップし、そこからハンドルを1回転します。
リールはヴァデル4000Hと同スペックのエクセラー4000H(ハンドルノブ交換、ラインローラーにベアリング改造あり)
これ、
「えっ?」っていうくらい巻けません(笑)
巻けなくはないけれど相当な力でないとキレイには回りません。
同じ条件でオシアジガー2000HGを試して見ると力は必要なものの、しっかりと巻けます。ちなみにオシアジガーのスペックから求めるとハンドル1回転は1.6kg×117cm÷57.8cm=3.24kg
明らかに数値よりも大きな違いがあると感じました。
これはスプールが直接巻き上げるベイトリールとベールの回転で巻き取るスピニングリールの巻き上げ方式によるものと考えられます。(まさに機械的損失ですね)
スピニングリールは数値以上に巻き上げに力が必要そうです。実際にハンドルにかける力を測定出来たら面白そうなのですが。。。
【まとめ】
長い文章にお付き合いいただきありがとうございましたm(__)m
友人のおかげで、リールのパワーについて考える良い機会になりました。
リール選択の際にはギア比だけでなく、スプール径やハンドル長も意識してみては?
ちなみに、私が勧めたのはセルテートSW8000Hです。リールの耐久性は保証出来ませんがハイギアとロングハンドルの組み合わせがジギングにはあっていそうな気がします。